
ゴーシェ病とは
歴史
1882年フランスの医師フィリップ・ゴーシェ(Philip Gaucher)によって最初に発見され、ゴーシェ病と名づけられました。その当時は脾臓の異質な腫瘍という概念でした。その後、1920年代にはゴーシェ病の2型が、1950年代には3型が位置づけられました。
図1:Dr. Philippe Gaucher (National Gaucher Foundation HPより引用)
ゴーシェ病とは
ゴーシェ病は糖脂質を分解するライソゾームの酵素(グルコセレブロシダーゼ)が生まれつき少ないために糖脂質が体内の細胞に蓄積し、肝脾腫、貧血、出血傾向、進行性の骨疾患など重篤な全身性の症状を引き起こす先天性脂質代謝異常症です。
ゴーシェ病の3つの病型
その臨床症状から3つのタイプに分類されます。
1型(成人型)
発症年齢は0~80歳と幅広く、通常肝脾腫が最初の兆候で、貧血、出血傾向を伴います。ユダヤ人に多く、肝脾腫、骨症状の程度は人によって様々です。
2型(乳児型)
乳児期に発症し肝脾腫に加えて神経症状(斜視、開口困難、痙攣)を伴い、急速に進行し2歳頃までに亡くなってしまうケースの多い、重篤なものです。
3型(幼児型)
幼児期に発症し、全身症状は1型と同じですが遅発性の神経症状を伴います。2型に比べてゆっくりした経過をたどります。
遺伝形式
ゴーシェ病の遺伝子変異は1番染色体に存在し、遺伝形式は常染色体劣性遺伝です。
 | 患者と健常者が夫婦の場合
夫婦のどちらかがゴーシェ病の場合は生まれてくる子供全てが保因者となります。
保因者とは病気の原因をもっていても発病しない人のことです。
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 | 保因者と保因者が夫婦の場合
保因者どうしの場合25%の確率で健常者、50%の確率で保因者、25%の確率で患者が生まれます。 |
発症頻度
発症頻度は人種および病型によって異なりはっきりした頻度は不明ですがゴーシェ病1型で59,000人に1人(オーストラリア)1)などが報告されています。
日本国内の発症頻度は不明です。
世界からよせられるゴーシェ病データプログラム(ゴーシェ レジストリー)に登録されている患者さんの数は2005年現在4,272名となっており、国別の内訳は以下のようになっています。
1)Meikle et al., JAMA 281:249-254, 1999
図1
症状
その臨床症状から3つのタイプに分類されます。
1型(成人型)
発症年齢は0~80歳と幅広く、通常肝脾腫が最初の兆候で、貧血、出血傾向を伴います。ユダヤ人に多く、肝脾腫、骨症状の程度は人によってさまざまです。
2型(乳児型)
乳児期に発症し肝脾腫に加えて神経症状(斜視、開口困難、痙攣など)を伴い、急速に進行し、2歳頃までに死亡します。
3型(幼児型)
幼児期に発症し、全身症状は1型と同じですが遅発性の神経症状を伴います。2型に比べてゆっくりした経過をたどります。
肝脾腫
分解されない糖脂質が細胞に蓄積するために肝臓・脾臓が大きくなり、お腹が膨れ上がります。
貧血・出血傾向
肝臓・脾臓の機能が侵されるために血液中の赤血球、白血球、血小板が減少します。 そのために貧血になり、血が出やすい、血が止まりにくいなどの症状が出ます。
神経症状
明らかな原因は不明ですが、痙攣や運動失調、斜視などの症状が出ます。
骨症状
骨髄の細胞に糖脂質が蓄積するために、骨変形、骨減少症、骨硬化症、骨壊死、骨痛などの骨合併症が生じます。
骨変形
骨の発達・再生が障害されるために骨がフラスコ様の形になります。よく見られる部位は膝の上下の骨で、多くの患者さんにみられる特徴的な症状です。
骨減少症
ゴーシェ病の患者さんは健常者に比較して骨量が少ない傾向にあります。骨量の減少は病的骨折(普通なら骨折しないような軽い外力で折れること)の原因になります。
骨硬化症
主に重度の患者さんにみられ、ゴーシェ細胞(グルコセレブシドが蓄積している細胞)の蓄積により骨が梗塞し石灰化します。
骨壊死
骨の血流が悪くなるため骨に壊死が生じます。股関節などの荷重がよくかかる骨に生じやすいです。
骨痛
ゴーシェ病の患者さんにとって骨合併症は痛みや骨折を伴うため、身体的、精神的ダメージが大きく、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の低下を招きます。特に小児は骨格が急激に成長する時期ですので成長遅滞がみられ、骨折・変形のリスクが増加します。いずれにせよ早期発見・早期治療が重要です。
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